
災害区分 台風
発災から死亡までの期間 3年以内
性別・年齢 男性・80歳代
死因 特発性間質性肺炎
死亡までの経緯等
発災前は肺炎等の持病があり、体調が悪くなると入院し、入院していない期間は月に1回から2回、病院にて受診していたが、日常生活に大きな支障はなく、農作業を行うなど活発であった。
発災時は近隣の避難所へ避難したものの建物が浸水し、4階に移動して一晩を過ごした。翌日、ボートにて救助された後に別の避難所に移動し1日過ごしたが、寝づらさを覚えたため親族宅に移動した。数日間は親族に避難所に送ってもらい日中を過ごし、夜は親族宅で過ごすという生活が続いた。発災から10日後に歩行困難となり緊急搬送され、搬送先の病院で肺炎の悪化と診断されそのまま入院することとなった。約20日で退院した後は介護施設、みなし仮設アパートと転居したが、体調不良により入退院を繰り返し、その間も活動量は低下していった。発災から約1年後に新築した自宅に戻ったが、引っ越しから約2か月後に酸素濃度の低下により再度入院したが、4日後、間質性肺炎のため死亡した。
災害のため避難を繰り返したことで生活環境が激変し、心身に負荷がかかったことによる体力の低下が、死因である間質性肺炎の発症につながったと推定されるため、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。
被災地での健康を守るために(厚生労働省)
2.病気の予防
(5)心身の機能の低下予防
慣れない避難所や仮設住宅の生活では、体を動かす機会が減ることで、特に高齢者の場合には、筋力が低下したり、関節が固くなるなどして、徐々に「動けなく」なることがあります。
また、動かないでいると、だんだん心が沈んできて「3.こころのケア」にあるような症状が出てしまうこともあります。
身の回りのことができる方は、なるべく自分で行ったり、可能な作業に参加したりしてください。
声をかけ合って、積極的に体を動かすようにしましょう。
3.こころのケア
今回の地震のように大変重いストレスにさらされると、程度の差はあっても誰でも、不安や心配などの反応が表れます。まずは休息や睡眠をできるだけとるようにしましょう。
これらの不安、心配の多くは時間の経過とともに回復することが知られています。
不安や心配を和らげる呼吸法として、「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う、朝、夕5分ずつ」行う方法もあります。実践してみましょう。
しかし、
1)心配で、イライラする、怒りっぽくなる
2)眠れない
3)動悸(どうき)、息切れで、苦しいと感じる
などのときは無理をせずに、まずは身近な人や、専門の相談員に相談してみましょう。
また普段からお互いに声を掛け合うなど、コミュニケーションを取るなどしてこころのケアをすることが大切です。