【1】虚血性心疾患【豪雨・1週間以内・50歳代・男性】

災害区分 豪雨
発災から死亡までの期間 1週間以内
性別・年齢 男性・50歳代
死因 虚血性心疾患

死亡までの経緯等

狭心症による心臓機能障害のため身体障害者手帳4級を所持していたが、状態は安定しており、派遣社員として就労していた。
発災時、自宅の周辺や外出していた子供たちが避難した親戚宅周辺は豪雨災害により広範囲にわたり浸水被害を受けたことにより、交通が遮断されていた。
同日夜、親戚宅に避難していた子供が激しい腹痛を訴えているとの内容の連絡を同行していた家族から受けたにもかかわらず、災害により交通が遮断されていることで、子供のもとに行き状況を確認することができなかった。さらに、勤務先から帰宅途中、渋滞に巻き込まれた妻からもパニック状態で電話がかかっていた。家族のことを大変心配したが、交通が遮断されており、子供のもとに行って状況を確認して対応することができず、翌日未明まで長時間にわたり心理的負荷を受け続け、翌朝、自宅にて虚血性心疾患で死亡した。
心労により持病の心臓機能障害が悪化し死亡につながったと推認され、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)とは

虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞があります。
狭心症は動脈硬化などによって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。主に歩行などの動作をしているときに、胸を圧迫されるような痛みの発作が繰り返し起こり、数分以内におさまります。発作が起きたときには、冠状動脈を拡張する作用を持つニトログリセリンを舌下服用するとおさまります。
狭心症はなんらかの動作中に起こることが多いのですが、安静時に冠動脈のけいれんが起こり、狭心症の発作が起こる場合もあります(冠攣縮性狭心症)。

一方、心筋梗塞は、動脈硬化によって心臓の血管に血栓(血液の固まり)ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう病気です。胸に激痛の発作が起こり、呼吸困難、激しい脈の乱れ、吐き気、冷や汗や顔面蒼白といった症状を伴うことがあります。痛みは20分から数時間にわたることもあります。激痛は胸だけでなく、胃のあたりや腕、肩などにも起こることがあり、これを放散痛と言います。心臓の血管が一瞬で詰まると、突然死することもあります。

狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、心臓カテーテル検査を行って、狭くなっているところや詰まっているところを見つけ、その部位で風船を膨らませて血管を拡張させるPTCA(経皮的冠動脈形成術)や、さらにその部位にステントという器具を入れて固定する治療がよく行われます。また、冠動脈バイパス手術が行われる場合もあります。

虚血性心疾患の予防

虚血性心疾患の3大危険因子は、喫煙・LDLコレステロールの高値・高血圧です。またメタボリックシンドロームも危険因子の一つです。
健康診断でこれらを早めに見つけることが重要です。生活習慣では、喫煙のほか、動物性の油に多く含まれる飽和脂肪酸のとりすぎ、お酒の飲み過ぎ、食塩のとりすぎ、運動不足、ストレスが虚血性心疾患のリスクを高くします。一方、魚や野菜、大豆製品には、虚血性心疾患を予防する働きがあります。

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