
災害区分 豪雨
発災から死亡までの期間 3か月以内
性別・年齢 男性・70歳代
死因 急性呼吸不全
死亡までの経緯等
発災前より慢性閉塞性肺疾患の既往があり、自宅にて酸素療法を行っていた。
発災時は大雨の影響により生じた河川氾濫で自宅が床上浸水。ゴムボートで救助された後、体育館へ避難した。翌日、自宅へ戻ったが、居室内にカビが発生する等、不衛生な環境で生活することとなった。発災から約3週間後、肺の不調を訴え約1週間の入院生活を送った。一旦退院したものの、発災から約2か月後、自宅において家族の呼びかけに応じず呼吸も浅かったことから救急要請。心肺停止状態で病院へ搬送され心肺蘇生術を施したが、急性呼吸不全により死亡した。
災害により生じた河川氾濫に起因する広範囲空気汚染により持病である慢性閉塞性肺疾患が悪化し死亡したと判断され、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。
被災地での健康を守るために(厚生労働省)
2.病気の予防
(2)粉じんから身を守る
家屋などが倒壊すると、コンクリートや断熱と耐火被覆に用いられた壁材などが大気中へ舞ったり、土砂などが乾燥して細かい粒になったりします。これら「粉じん」を長期間吸い込んだ場合、肺にそれらが蓄積することで、「じん肺」という病気にかかる可能性があります。「じん肺」は、建造物の解体などに従事する方におこりやすく、初期には自覚症状がないため、気づかない間に進行し、やがて咳、痰、息切れがおこり、さらに進行すると呼吸困難、動悸、さらには肺性心といって、心臓が悪くなり、全身の症状が出現します。
「じん肺」を根治する方法はないため、予防が非常に重要です。粉じんの発生する現場での作業は、専門の業者などに依頼することが薦められますが、個人で作業する場合には、以下の方法をできるだけ取り入れてください。
- 粉じんの発生をおさえましょう
- 水をまいたり、粉状のものはあらかじめ水で濡らしましょう
- 粉じんを除去しましょう
- 廃棄装置、除じん装置があれば使用しましょう。
- 室内で作業をする場合には換気をしましょう
- 粉じんの吸入を防ぎましょう
- 使い捨て式防じんマスクなどを着用しましょう。
- 粉じんが付着しにくい服装を選びましょう。
- 作業後、咳、痰、息切れが続く場合は、医師、保健師に相談しましょう
●マスクの着用について
粉じんが舞い上がるような環境の中では、マスクを用いることが必要です。マスクは、防じんマスクやN95マスクなどのマスクを使用することが望ましいのですが、これらが手に入らない場合や、粉じんにそれほど長くばく露されない状況であれば、花粉防止用マスクなどの活用が考えられます。これからの季節、気温が上がりますが、粉じんの吸入を防いで健康を守るために、作業現場等においては暑くてもマスクで鼻と口を同時に覆い、顔にフィットさせて正しく着用することが重要です。