【9】心筋梗塞【地震・1週間以内・40歳代・男性】

災害区分 地震
発災から死亡までの期間 1週間以内
性別・年齢 男性・40歳代
死因 心筋梗塞

死亡までの経緯等

発災前は生活習慣病予防検診を毎年受診しており、直近の検診ではメタボリックシンドロームの基準値を超え、脂質について精査・治療を要するとの判定であったが、定期的な通院等は行っていなかった。
発災当日は普段どおり仕事をこなし、食事も適度に摂ったうえ、夕方に子供達を駅まで迎えに行くなど、いつもと変わらず過ごした。
深夜に地震が発生し、家族全員で自宅の外へ避難した。揺れが一段落した後、自宅の片付けをするために階段を2~3往復したところ、胸の痛みを訴えたことから、家族が病院まで搬送し、救急処置室で心臓マッサージ等の処置を受けたが、発症から約1時間後に死亡した。
定期検診の結果から動脈硬化の進行はあったと推測されるが、地震の発生から短時間のうちに階段を昇降したことによる身体的負荷が心筋梗塞を誘引したと考えられるため、死亡と災害の間に相当因果関係があると認められた。

狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)とは

虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞があります。
狭心症は動脈硬化などによって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。主に歩行などの動作をしているときに、胸を圧迫されるような痛みの発作が繰り返し起こり、数分以内におさまります。発作が起きたときには、冠状動脈を拡張する作用を持つニトログリセリンを舌下服用するとおさまります。
狭心症はなんらかの動作中に起こることが多いのですが、安静時に冠動脈のけいれんが起こり、狭心症の発作が起こる場合もあります(冠攣縮性狭心症)。

一方、心筋梗塞は、動脈硬化によって心臓の血管に血栓(血液の固まり)ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう病気です。胸に激痛の発作が起こり、呼吸困難、激しい脈の乱れ、吐き気、冷や汗や顔面蒼白といった症状を伴うことがあります。痛みは20分から数時間にわたることもあります。激痛は胸だけでなく、胃のあたりや腕、肩などにも起こることがあり、これを放散痛と言います。心臓の血管が一瞬で詰まると、突然死することもあります。

狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、心臓カテーテル検査を行って、狭くなっているところや詰まっているところを見つけ、その部位で風船を膨らませて血管を拡張させるPTCA(経皮的冠動脈形成術)や、さらにその部位にステントという器具を入れて固定する治療がよく行われます。また、冠動脈バイパス手術が行われる場合もあります。

虚血性心疾患の予防

虚血性心疾患の3大危険因子は、喫煙・LDLコレステロールの高値・高血圧です。またメタボリックシンドロームも危険因子の一つです。
健康診断でこれらを早めに見つけることが重要です。生活習慣では、喫煙のほか、動物性の油に多く含まれる飽和脂肪酸のとりすぎ、お酒の飲み過ぎ、食塩のとりすぎ、運動不足、ストレスが虚血性心疾患のリスクを高くします。一方、魚や野菜、大豆製品には、虚血性心疾患を予防する働きがあります。

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