
災害区分 台風
発災から死亡までの期間 3年以内
性別・年齢 男性・90歳代
死因 誤嚥性肺炎
死亡までの経緯等
発災前は認知症等の持病はあったものの、介助の必要もなく一人で過ごせており、日常生活に支障は無かった。
発災時は自宅が浸水し停電したため、敷地内の高台にある離れに避難していた。翌日、ボートで救助された後は避難所に移動し一晩を過ごしたが、家が心配で眠ることが出来なかった。翌朝、家のことが気になるため自宅に戻り生活していたが、室内は汚泥まみれであり生活を続けられる環境ではなかったため、3日後に施設に入所した。発災から約3か月後に別の施設に転居したが、食欲は低下していき入退院を繰り返すようになった。また、発災から約6か月後には、結核を発症して転院することとなった。一時は快復に向かい退院したが、再び体調不良を訴え再入院し、発災から約1年4か月後に誤嚥性肺炎のため死亡した。
自宅が被災したことにより精神に大きなショックを受け、更に生活環境の激変による心身への負荷や食欲の低下が重なり体力が低下していき、死因である誤嚥性肺炎の発症の原因となったと推測されることから、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。
被災地での健康を守るために(厚生労働省)
2.病気の予防
(5)心身の機能の低下予防
慣れない避難所や仮設住宅の生活では、体を動かす機会が減ることで、特に高齢者の場合には、筋力が低下したり、関節が固くなるなどして、徐々に「動けなく」なることがあります。
また、動かないでいると、だんだん心が沈んできて「3.こころのケア」にあるような症状が出てしまうこともあります。
身の回りのことができる方は、なるべく自分で行ったり、可能な作業に参加したりしてください。
声をかけ合って、積極的に体を動かすようにしましょう。
(6)歯と口の清掃(口腔ケア)・入れ歯
避難生活では、水の不足等により、歯・口・入れ歯の清掃がおろそかになり、食生活の偏り、水分補給の不足、ストレスなども重なって、むし歯、歯周病、口臭などが生じやすくなります。特に高齢者では、体力低下も重なり、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引きおこしやすくなります。
できるだけ歯みがきを行い、歯みがきができない場合でも、少量の水でできるうがい(ぷくぷくうがい)を行いましょう。また、支援物資には菓子パンやお菓子も多いですが、食べる時間を決めるなどして、頻回な飲食を避けるようにしましょう。
入れ歯の紛失・破損、歯の痛みなどで食べることに困っている方は、避難所の担当者や歯科医師等に相談しましょう。
3.こころのケア
今回の地震のように大変重いストレスにさらされると、程度の差はあっても誰でも、不安や心配などの反応が表れます。まずは休息や睡眠をできるだけとるようにしましょう。
これらの不安、心配の多くは時間の経過とともに回復することが知られています。
不安や心配を和らげる呼吸法として、「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う、朝、夕5分ずつ」行う方法もあります。実践してみましょう。
しかし、
1)心配で、イライラする、怒りっぽくなる
2)眠れない
3)動悸(どうき)、息切れで、苦しいと感じる
などのときは無理をせずに、まずは身近な人や、専門の相談員に相談してみましょう。
また普段からお互いに声を掛け合うなど、コミュニケーションを取るなどしてこころのケアをすることが大切です。