
災害区分 台風
発災から死亡までの期間 3年以内
性別・年齢 男性・60歳代
死因 間質性肺炎
死亡までの経緯等
発災前に既往等は無かった。
発災時は自宅付近の河川が氾濫し、近隣の避難所に緊急避難した。自宅が被災し流失したため、避難所で生活することとなった。避難所では床に直接寝る状況で、粉塵も舞っていた。また、冬になると気温が下がり、寒さや咳で眠れないことも多くなった。体調不良が続いたため受診したところ、特発性間質性肺炎と診断された。発災から約4か月後、応急仮設住宅に入居したが、床も冷たく咳き込むことが増えた。また、結露が激しく室内の一部や畳にカビが生えるなど、住環境は衛生的ではなかった。徐々に活動量や食事量も低下していき、発災から約3年後、呼吸困難を訴えたため緊急搬送されたが、間質性肺炎のため同日中に死亡した。
災害により自宅が流失したことや避難生活が長引いたことによる心身へのストレスで体力が低下していったことに加え、住環境の悪化により死因である間質性肺炎が発症したと考えられることから、死亡と災害との間の相当因果関係があると認められた。
被災地での健康を守るために(厚生労働省)
1.生活・身の回りのことについて
(5)生活環境
[1] 室内の環境
避難生活が長期に及ぶと、布団にダニが繁殖し広がりやすいので、定期的な清掃のほか、できれば、布団・毛布等の日干しを行うことが望ましいです。 特に高齢者は、自分で布団を干すことが難しいので、周囲の方が手伝ってください。
定期的に清掃を行うことに心がけましょう。
避難所内は土足厳禁とし、靴を履き替えられるようにしましょう。
病気の方、高齢者に配慮して換気をしましょう。
受動喫煙防止のために、体育館、集会場などの避難所では、原則として全面禁煙にしましょう。
2.病気の予防
(2)粉じんから身を守る
家屋などが倒壊すると、コンクリートや断熱と耐火被覆に用いられた壁材などが大気中へ舞ったり、土砂などが乾燥して細かい粒になったりします。これら「粉じん」を長期間吸い込んだ場合、肺にそれらが蓄積することで、「じん肺」という病気にかかる可能性があります。「じん肺」は、建造物の解体などに従事する方におこりやすく、初期には自覚症状がないため、気づかない間に進行し、やがて咳、痰、息切れがおこり、さらに進行すると呼吸困難、動悸、さらには肺性心といって、心臓が悪くなり、全身の症状が出現します。
「じん肺」を根治する方法はないため、予防が非常に重要です。粉じんの発生する現場での作業は、専門の業者などに依頼することが薦められますが、個人で作業する場合には、以下の方法をできるだけ取り入れてください。
- 粉じんの発生をおさえましょう
- 水をまいたり、粉状のものはあらかじめ水で濡らしましょう
- 粉じんを除去しましょう
- 廃棄装置、除じん装置があれば使用しましょう。
- 室内で作業をする場合には換気をしましょう
- 粉じんの吸入を防ぎましょう
- 使い捨て式防じんマスクなどを着用しましょう。
- 粉じんが付着しにくい服装を選びましょう。
- 作業後、咳、痰、息切れが続く場合は、医師、保健師に相談しましょう
●マスクの着用について
粉じんが舞い上がるような環境の中では、マスクを用いることが必要です。マスクは、防じんマスクやN95マスクなどのマスクを使用することが望ましいのですが、これらが手に入らない場合や、粉じんにそれほど長くばく露されない状況であれば、花粉防止用マスクなどの活用が考えられます。これからの季節、気温が上がりますが、粉じんの吸入を防いで健康を守るために、作業現場等においては暑くてもマスクで鼻と口を同時に覆い、顔にフィットさせて正しく着用することが重要です。