
災害区分 豪雨
発災から死亡まで
の期間 1週間以内
性別・年齢 女性・90歳代
死因 播種性血管内凝固症候群
死亡までの経緯等
入院中の医療機関が水没し、発災翌日に入院患者の避難措置等を行った。
避難措置の翌日に急激に容態が悪化し、死亡した。
当該医療機関に対するヒアリングにおいて、看護体制が不十分であったことに言及があったこと、及び、避難措置等を行った当日及び翌日の看護記録等の利用記録が欠如していることから、少なくともそれらの日において、医療・看護体制が不十分であったものと考えられ、死亡当日の急激な容態の悪化に関して、前日の看護体制不十分さが原因となった可能性を排斥できない。
また、入院中に狭心症が認められ、死亡当日に急性心不全となった可能性は否定できないが、平時の医療体制が行われていれば、適切な延命措置が取られ、少なくとも延命できた可能性が存在する。
医療記録上も上記推認過程を疑わせる特段の事情も認められないことから、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。
播種性血管内凝固症候群とは
播種性血管内凝固症候群(DIC)は、体内のいたるところで血が固まり(血栓)、同時に血が止まらなくなる(出血)状態です。
播種性血管内凝固(DIC)とは、主な症状として、出血しやすくなる、また、全身の微小な血管の障害及び血管がつまることにより臓器に障害が現れます。症状が重くなると、ショックやまれに溶血性貧血をともないます。
なお、DIC の発症は通常の医薬品の副作用と異なり、がん、重症の感染症など非常に重い病気を持つ患者に発症することが多く、主に入院患者で状態の悪化に伴い発症することが多いと考えられています。
厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル より