
災害区分 地震
発災から死亡までの期間 1か月以内
性別・年齢 女性・90歳代
死因 多臓器不全
死亡までの経緯等
発災4年前から市内のグループホームで生活しており、施設内は4点歩行器を使用して移動していた。要介護3の認定受けており、発災の約1か月前には、食欲の低下が認められた。
グループホームにおいて被災する。建物の損傷が大きく、ライフラインの途絶もあったこと、経口摂取量が減少したことから、訪問看護師の勧めに従い、点滴が可能なグループホームと同系列の施設に移送される。被災3か日後から約2週間、床にマットレスを敷いた避難生活を送る。食事が進まないため、医師の診療を受け、点滴を実施。
移送から約2週間後、隣市にあるグループホームと同系列の医療機関が復旧したため、同院に移送される。おむつ交換時にパットに出血を認めたため、止血剤が投入される。起き上がりが困難となり、声がけにもうなずく程度の反応となる。
同院への移送から5日後、呼名への反応がなくなる。移送から約10日後、心停止。
被災後に経口摂取量が低下し、隣市にある医療機関への移送により生活環境が激変したこと等が、身体的・精神的な負担となり多臓器不全を発症して死亡したものと推認されることから、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。
被災地での健康を守るために(厚生労働省)
2.病気の予防
(5)心身の機能の低下予防
慣れない避難所や仮設住宅の生活では、体を動かす機会が減ることで、特に高齢者の場合には、筋力が低下したり、関節が固くなるなどして、徐々に「動けなく」なることがあります。
また、動かないでいると、だんだん心が沈んできて「3.こころのケア」にあるような症状が出てしまうこともあります。
身の回りのことができる方は、なるべく自分で行ったり、可能な作業に参加したりしてください。
声をかけ合って、積極的に体を動かすようにしましょう。
3.こころのケア
今回の地震のように大変重いストレスにさらされると、程度の差はあっても誰でも、不安や心配などの反応が表れます。まずは休息や睡眠をできるだけとるようにしましょう。
これらの不安、心配の多くは時間の経過とともに回復することが知られています。
不安や心配を和らげる呼吸法として、「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う、朝、夕5分ずつ」行う方法もあります。実践してみましょう。
しかし、
1)心配で、イライラする、怒りっぽくなる
2)眠れない
3)動悸(どうき)、息切れで、苦しいと感じる
などのときは無理をせずに、まずは身近な人や、専門の相談員に相談してみましょう。
また普段からお互いに声を掛け合うなど、コミュニケーションを取るなどしてこころのケアをすることが大切です。