
災害区分 豪雨
発災から死亡までの期間 6か月以内
性別・年齢 女性・80歳代
死因 慢性呼吸不全
死亡までの経緯等
長女との二人暮らし。長年、肺気腫を患い、酸素吸入を行っていたが、最低限の身の回りのことは行っていた。
発災時、避難しようと思った時には自宅前の道路が玄関の高さまで冠水しており、避難所等への避難が不可能であったため、長女とともに自宅2階へ垂直避難。長女が酸素吸入器と最低限の飲食糧を2階に運び、一夜を過ごす。翌日、親族宅に親族が運転する車にて一時避難。翌日、別の親族宅に移動し、約2か月間滞在する。自力で動くことが減り、1日の大半をベッドの上で過ごす。また、食事の量も減り、1日1食程度になった。
親族宅に約2か月滞在した後、自宅前のみなし仮設住宅に入居する。入居から約1か月半後、体調が悪化し、自力で体を支え切れなくなった。発災から約5か月後、みなし仮設住宅内で息をしていない状態を発見され、死亡が確認された。
避難行動による身体的負担や、発災に起因する精神的なショックにより食事量が減り、必要とする栄養を十分摂取することができなくなったことで、肺疾患が悪化したことが死亡に影響したと推測され、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。
被災地での健康を守るために(厚生労働省)
2.病気の予防
(5)心身の機能の低下予防
慣れない避難所や仮設住宅の生活では、体を動かす機会が減ることで、特に高齢者の場合には、筋力が低下したり、関節が固くなるなどして、徐々に「動けなく」なることがあります。
また、動かないでいると、だんだん心が沈んできて「3.こころのケア」にあるような症状が出てしまうこともあります。
身の回りのことができる方は、なるべく自分で行ったり、可能な作業に参加したりしてください。
声をかけ合って、積極的に体を動かすようにしましょう。
3.こころのケア
今回の地震のように大変重いストレスにさらされると、程度の差はあっても誰でも、不安や心配などの反応が表れます。まずは休息や睡眠をできるだけとるようにしましょう。
これらの不安、心配の多くは時間の経過とともに回復することが知られています。
不安や心配を和らげる呼吸法として、「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う、朝、夕5分ずつ」行う方法もあります。実践してみましょう。
しかし、
1)心配で、イライラする、怒りっぽくなる
2)眠れない
3)動悸(どうき)、息切れで、苦しいと感じる
などのときは無理をせずに、まずは身近な人や、専門の相談員に相談してみましょう。
また普段からお互いに声を掛け合うなど、コミュニケーションを取るなどしてこころのケアをすることが大切です。