【53】うっ血性心不全増悪【豪雨・3か月以内・80歳代・男性】

災害区分 豪雨
発災から死亡までの期間 3か月以内
性別・年齢 男性・80歳代
死因 うっ血性心不全増悪

死亡までの経緯等

被災者は、当時自宅で一人暮らしをしていた。被災後施設に避難したが、高血圧のほかは特に症状はなく、弱った状態ではなかった。
発災から約3週間にわたり、自宅は停電、断水が継続し、生活するには困難な状況であったが、避難先の施設では心身ともに落ち着かないため、避難から約1週間後に、自宅に戻り、親族に見守られながら独居生活を送っていた。帰宅から約1か月後に、自宅で倒れているのを発見され、救急搬送されたが、後に病院で死亡した。
上下水道などライフラインの途絶により脱水気味となったこと、また付近で行われていた復旧作業に伴う粉塵により肺炎を発症させた可能性があると推測され、肺炎とともにうっ血性急性心不全を引き起こして死に至ったものとして、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

被災地での健康を守るために(厚生労働省)

1.生活・身の回りのことについて

(2) 水分について
[1] 水分の確保
  • 様々なストレスや、トイレが整備されないことが原因で、水分をとる量が減りがちです。また、気温が高いときには脱水状態になりやすいので、こまめに水分をとりましょう。特に高齢者は脱水に気付きにくく、こうした影響を受けやすく、尿路の感染症や心筋梗塞、エコノミークラス症候群などの原因にもなるので、しっかりと水分をとるようにしましょう

2.病気の予防

(2)粉じんから身を守る

 家屋などが倒壊すると、コンクリートや断熱と耐火被覆に用いられた壁材などが大気中へ舞ったり、土砂などが乾燥して細かい粒になったりします。これら「粉じん」を長期間吸い込んだ場合、肺にそれらが蓄積することで、「じん肺」という病気にかかる可能性があります。「じん肺」は、建造物の解体などに従事する方におこりやすく、初期には自覚症状がないため、気づかない間に進行し、やがて咳、痰、息切れがおこり、さらに進行すると呼吸困難、動悸、さらには肺性心といって、心臓が悪くなり、全身の症状が出現します。

 「じん肺」を根治する方法はないため、予防が非常に重要です。粉じんの発生する現場での作業は、専門の業者などに依頼することが薦められますが、個人で作業する場合には、以下の方法をできるだけ取り入れてください。

  1. 粉じんの発生をおさえましょう
    • 水をまいたり、粉状のものはあらかじめ水で濡らしましょう
  2. 粉じんを除去しましょう
    • 廃棄装置、除じん装置があれば使用しましょう。
  3. 室内で作業をする場合には換気をしましょう
  4. 粉じんの吸入を防ぎましょう
    • 使い捨て式防じんマスクなどを着用しましょう。
    • 粉じんが付着しにくい服装を選びましょう。
  5. 作業後、咳、痰、息切れが続く場合は、医師、保健師に相談しましょう

●マスクの着用について
 粉じんが舞い上がるような環境の中では、マスクを用いることが必要です。マスクは、防じんマスクやN95マスクなどのマスクを使用することが望ましいのですが、これらが手に入らない場合や、粉じんにそれほど長くばく露されない状況であれば、花粉防止用マスクなどの活用が考えられます。これからの季節、気温が上がりますが、粉じんの吸入を防いで健康を守るために、作業現場等においては暑くてもマスクで鼻と口を同時に覆い、顔にフィットさせて正しく着用することが重要です。

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