【33】肺炎【地震・1か月以内・70歳代・女性】

災害区分 地震
発災から死亡までの期間 1か月以内
性別・年齢 女性・70歳代
死因 肺炎

死亡までの経緯等

10年前から心不全や気管支喘息の症状で月1回程度通院していたが、症状は安定しており、服薬による加療で支障なく生活していた。
自宅で被災し、避難所へ避難するが、処方薬を持ち出すことができなかった。避難してから3日間は、昼は自宅、夜は避難所での生活を送る。避難所までは徒歩5分程度の距離であるが、足が不自由なため40分ほどかかっていた。
4日目、避難生活を続ける中で風邪になったため、かかりつけ医を受診。薬を服用する。
その後、食欲不振と息苦しさを感じたため、風邪で受診してから5日後に再度、かかりつけ医を受診し、かかりつけ医から総合病院に緊急搬送される。入院・加療を行うが、入院から3日後に肺炎により死亡。
避難所から自宅までの往復などの避難生活が身体的負担となり、持病である気管支喘息を悪化させ、死因である気管支肺炎が発生したものと推認されるため、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

被災地での健康を守るために(厚生労働省)

2.病気の予防

(2)粉じんから身を守る

 家屋などが倒壊すると、コンクリートや断熱と耐火被覆に用いられた壁材などが大気中へ舞ったり、土砂などが乾燥して細かい粒になったりします。これら「粉じん」を長期間吸い込んだ場合、肺にそれらが蓄積することで、「じん肺」という病気にかかる可能性があります。「じん肺」は、建造物の解体などに従事する方におこりやすく、初期には自覚症状がないため、気づかない間に進行し、やがて咳、痰、息切れがおこり、さらに進行すると呼吸困難、動悸、さらには肺性心といって、心臓が悪くなり、全身の症状が出現します。

 「じん肺」を根治する方法はないため、予防が非常に重要です。粉じんの発生する現場での作業は、専門の業者などに依頼することが薦められますが、個人で作業する場合には、以下の方法をできるだけ取り入れてください。

  1. 粉じんの発生をおさえましょう
    • 水をまいたり、粉状のものはあらかじめ水で濡らしましょう
  2. 粉じんを除去しましょう
    • 廃棄装置、除じん装置があれば使用しましょう。
  3. 室内で作業をする場合には換気をしましょう
  4. 粉じんの吸入を防ぎましょう
    • 使い捨て式防じんマスクなどを着用しましょう。
    • 粉じんが付着しにくい服装を選びましょう。
  5. 作業後、咳、痰、息切れが続く場合は、医師、保健師に相談しましょう

●マスクの着用について
 粉じんが舞い上がるような環境の中では、マスクを用いることが必要です。マスクは、防じんマスクやN95マスクなどのマスクを使用することが望ましいのですが、これらが手に入らない場合や、粉じんにそれほど長くばく露されない状況であれば、花粉防止用マスクなどの活用が考えられます。これからの季節、気温が上がりますが、粉じんの吸入を防いで健康を守るために、作業現場等においては暑くてもマスクで鼻と口を同時に覆い、顔にフィットさせて正しく着用することが重要です。

タイトルとURLをコピーしました