
災害区分 豪雨
発災から死亡までの期間 6か月以内
性別・年齢 男性・80歳代
死因 誤嚥性肺炎
死亡までの経緯等
被災者は、胃がんの手術をしたことはあったが、腰痛の治療のために通院していた以外持病はなく、健康上問題なく過ごしていた。
発災時、雨が強くなったことから、近隣住民に促され近所の集会所に夫婦で避難した。その後、親族が車で迎えに来て、親族宅で1夜を過ごした。翌日、自宅隣にある山の畑が崩れ、土砂が流入し、屋根も損壊して住める状態ではなくなっていることが判明。引き続き避難していた親族宅に約1週間避難する。災害の影響で断水していること等でストレスにより、口数も減り、食欲も被災前に比べると減っていた。別の親族宅の断水が解消したため移動するが、落ちつかない様子であった。その後、発災から12日後に、断水が解消したこともあり、親戚が所有する空き家に移動。
親戚が所有する家屋に移動した約1か月後の朝、吐血があり、子の車でかかりつけ医を受診したところ、病院に救急搬送され、重症の肺炎等のため入院した。入院から約70日後、容態が悪化し、誤嚥性肺炎により死亡した。
自宅の被災に伴う環境の大きな変化により、精神的及び身体的な負担が増大し、体力の低下を招き、誤嚥性肺炎による死亡につながったとして、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。
被災地での健康を守るために(厚生労働省)
2.病気の予防
(5)心身の機能の低下予防
慣れない避難所や仮設住宅の生活では、体を動かす機会が減ることで、特に高齢者の場合には、筋力が低下したり、関節が固くなるなどして、徐々に「動けなく」なることがあります。
また、動かないでいると、だんだん心が沈んできて「3.こころのケア」にあるような症状が出てしまうこともあります。
身の回りのことができる方は、なるべく自分で行ったり、可能な作業に参加したりしてください。
声をかけ合って、積極的に体を動かすようにしましょう。
3.こころのケア
今回の地震のように大変重いストレスにさらされると、程度の差はあっても誰でも、不安や心配などの反応が表れます。まずは休息や睡眠をできるだけとるようにしましょう。
これらの不安、心配の多くは時間の経過とともに回復することが知られています。
不安や心配を和らげる呼吸法として、「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う、朝、夕5分ずつ」行う方法もあります。実践してみましょう。
しかし、
1)心配で、イライラする、怒りっぽくなる
2)眠れない
3)動悸(どうき)、息切れで、苦しいと感じる
などのときは無理をせずに、まずは身近な人や、専門の相談員に相談してみましょう。
また普段からお互いに声を掛け合うなど、コミュニケーションを取るなどしてこころのケアをすることが大切です。