【69】呼吸不全(肺塞栓症の疑い)【台風・3か月以内・80歳代・男性】

災害区分 台風
発災から死亡までの期間 3か月以内
性別・年齢 男性・80歳代
死因 呼吸不全(肺塞栓症の疑い)

死亡までの経緯等

発災前は慢性心不全、糖尿病、前立腺癌等の既往があり肺炎による入院歴もあったが、日常生活には支障は無かった。
発災時は自宅が床上浸水し、すでに避難できない状況であったため、ボートで救出されるまで8時間余り水に浸かっていた。避難所に移動したものの、足が腫れて歩くことが出来ずに病院に搬送されたが、入院はせずに親族宅に避難することとなった。症状は親族宅でも回復せず、トイレに行く時以外は寝ている状態であった。発災から5日後からは宿泊施設、約1か月後には被災者用住宅に入居した。直後にエコノミー症候群と診断され、発災から約2か月後に呼吸の苦しさを訴え入院。その後、在宅療養となり酸素吸入器を使用しながら生活していたが、発災から約3か月後、呼吸不全のため死亡した。
災害による環境の激変から心身にストレスがかかり、死因である呼吸不全の発症に至ったと推定されることから、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

被災地での健康を守るために(厚生労働省)

1.生活・身の回りのことについて

(1) 暑さへの対策
  • 暑い日が続く季節となってきたため、脱水や熱中症で体調を崩さないように注意することが必要です。日中に外出するときには、日傘の使用や帽子の着用、日陰の利用などにより暑さを避け、こまめに水分・塩分補給をしましょう。特に、節電・節約を意識するあまり、クーラー等を使わず熱中症になることがないよう、室温をこまめに計測し、28度を目安として、適度にクーラー等を使用することも重要です。また、暑い日に、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられた際には、すぐに医療機関を受診しましょう。
(2) 水分について
[1] 水分の確保
  • 様々なストレスや、トイレが整備されないことが原因で、水分をとる量が減りがちです。また、気温が高いときには脱水状態になりやすいので、こまめに水分をとりましょう。特に高齢者は脱水に気付きにくく、こうした影響を受けやすく、尿路の感染症や心筋梗塞、エコノミークラス症候群などの原因にもなるので、しっかりと水分をとるようにしましょう

2.病気の予防

(4)エコノミークラス症候群にならないために

 食事や水分を十分にとらない状態で、車などの狭い座席に長時間座っているなどして足を動かさないと、血行不良が起こり、血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が足から肺などにとび、血管を詰まらせ肺塞栓などを誘発する恐れがあります。この症状をエコノミークラス症候群と呼んでいます。

 こうした危険を予防するために、狭い車内などで寝起きを余儀なくされている方は、定期的に体を動かし、十分に水分をとるように心がけましょう。アルコール、コーヒーなどは利尿作用があり、飲んだ以上に水分となって体外に出てしまうので避けましょう。できるだけゆったりとした服を着ましょう。また、禁煙はエコノミー症候群の予防においても大変重要です。

 胸の痛みや、片側の足の痛み・赤くなる・むくみがある方は早めに医師に相談してください。

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