【75】間質性肺炎【台風・3か月以内・70歳代・男性】

災害区分 台風
発災から死亡までの期間 3か月以内
性別・年齢 男性・70歳代
死因 間質性肺炎

死亡までの経緯等

発災の約2年前に間質性肺炎を発症しており、治療を継続していた。
発災時に自宅が水害に遭い、自ら自宅や物置の復旧作業を行っていた。作業中には多量の粉塵が舞っており、発災から約2週間後に呼吸苦を訴えたため受診したところ、広汎な間質性肺炎が認められ、そのまま緊急入院することとなった。治療を継続していたが、(肺炎の悪化に加え血管内凝固症候群、多臓器障害も進行していった。)その後も呼吸不全の改善は見られず、発災から約1か月後に間質性肺炎のため死亡した。
災害後の復旧作業中に粉塵を多量に吸入したことが死因である間質性肺炎の悪化につながったと推定され、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

被災地での健康を守るために(厚生労働省)

2.病気の予防

(2)粉じんから身を守る

 家屋などが倒壊すると、コンクリートや断熱と耐火被覆に用いられた壁材などが大気中へ舞ったり、土砂などが乾燥して細かい粒になったりします。これら「粉じん」を長期間吸い込んだ場合、肺にそれらが蓄積することで、「じん肺」という病気にかかる可能性があります。「じん肺」は、建造物の解体などに従事する方におこりやすく、初期には自覚症状がないため、気づかない間に進行し、やがて咳、痰、息切れがおこり、さらに進行すると呼吸困難、動悸、さらには肺性心といって、心臓が悪くなり、全身の症状が出現します。

 「じん肺」を根治する方法はないため、予防が非常に重要です。粉じんの発生する現場での作業は、専門の業者などに依頼することが薦められますが、個人で作業する場合には、以下の方法をできるだけ取り入れてください。

  1. 粉じんの発生をおさえましょう
    • 水をまいたり、粉状のものはあらかじめ水で濡らしましょう
  2. 粉じんを除去しましょう
    • 廃棄装置、除じん装置があれば使用しましょう。
  3. 室内で作業をする場合には換気をしましょう
  4. 粉じんの吸入を防ぎましょう
    • 使い捨て式防じんマスクなどを着用しましょう。
    • 粉じんが付着しにくい服装を選びましょう。
  5. 作業後、咳、痰、息切れが続く場合は、医師、保健師に相談しましょう

●マスクの着用について
 粉じんが舞い上がるような環境の中では、マスクを用いることが必要です。マスクは、防じんマスクやN95マスクなどのマスクを使用することが望ましいのですが、これらが手に入らない場合や、粉じんにそれほど長くばく露されない状況であれば、花粉防止用マスクなどの活用が考えられます。これからの季節、気温が上がりますが、粉じんの吸入を防いで健康を守るために、作業現場等においては暑くてもマスクで鼻と口を同時に覆い、顔にフィットさせて正しく着用することが重要です。

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