【83】急性心筋梗塞【豪雨・6か月以内・50歳代・男性】

災害区分 豪雨
発災から死亡までの期間 6か月以内
性別・年齢 男性・50歳代
死因 急性心筋梗塞

死亡までの経緯等

被災前は、重度の腎臓機能障害による人工透析や心筋梗塞、動脈硬化等の治療をしながら自宅で父と暮らしていた。
発災10日前に虚血性腸炎のため入院しており、発災時は、抗菌薬加療や血管手術等のため入院中であった。
発災から2日後、父を心配して早期退院し、避難所で1泊した後は、親族宅で避難生活をしながら透析治療を再開したが、退院から10日後に抗菌薬関連大腸炎を発症し、約2週間入院した。
退院翌日から被災した自宅2階で父と在宅避難生活を始めたが、約1週間後に腸炎を再発し、約2週間入院した。
退院から約半月後に、借上型仮設住宅に入居したが、食事内容から高カリウム血症や循環器機能の悪化等を招き、入居から約2か月後に入院した。5日後に退院し、通院による人工透析を再開するも、退院から10日後に借上型仮設住宅にて急性心筋梗塞により死亡した。
被災した自宅や借上げ型仮設住宅での避難生活による心身への負荷があったと推測され、現症の重篤化が、死因である心筋梗塞の発症に影響したと認められることから、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)とは

虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞があります。
狭心症は動脈硬化などによって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。主に歩行などの動作をしているときに、胸を圧迫されるような痛みの発作が繰り返し起こり、数分以内におさまります。発作が起きたときには、冠状動脈を拡張する作用を持つニトログリセリンを舌下服用するとおさまります。
狭心症はなんらかの動作中に起こることが多いのですが、安静時に冠動脈のけいれんが起こり、狭心症の発作が起こる場合もあります(冠攣縮性狭心症)。

一方、心筋梗塞は、動脈硬化によって心臓の血管に血栓(血液の固まり)ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう病気です。胸に激痛の発作が起こり、呼吸困難、激しい脈の乱れ、吐き気、冷や汗や顔面蒼白といった症状を伴うことがあります。痛みは20分から数時間にわたることもあります。激痛は胸だけでなく、胃のあたりや腕、肩などにも起こることがあり、これを放散痛と言います。心臓の血管が一瞬で詰まると、突然死することもあります。

狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、心臓カテーテル検査を行って、狭くなっているところや詰まっているところを見つけ、その部位で風船を膨らませて血管を拡張させるPTCA(経皮的冠動脈形成術)や、さらにその部位にステントという器具を入れて固定する治療がよく行われます。また、冠動脈バイパス手術が行われる場合もあります。

虚血性心疾患の予防

虚血性心疾患の3大危険因子は、喫煙・LDLコレステロールの高値・高血圧です。またメタボリックシンドロームも危険因子の一つです。
健康診断でこれらを早めに見つけることが重要です。生活習慣では、喫煙のほか、動物性の油に多く含まれる飽和脂肪酸のとりすぎ、お酒の飲み過ぎ、食塩のとりすぎ、運動不足、ストレスが虚血性心疾患のリスクを高くします。一方、魚や野菜、大豆製品には、虚血性心疾患を予防する働きがあります。

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