【101】急性心筋梗塞【豪雨・1年以内・70歳代・男性】

災害区分 豪雨
発災から死亡までの期間 1年以内
性別・年齢 男性・70歳代
死因 急性心筋梗塞

死亡までの経緯等

被災前から高血圧症や心臓病の持病があったが、病状は安定しており、服薬により日常生活は支障なく自宅で生活していた。
発災時は、早朝に自宅の周りに土砂が流入し、何も持たずに泥まみれになりながら高台へ避難。高台から避難所へは消防車で移動。移動中の消防車内で嘔吐し、医療機関を受診。めまい、嘔吐と診断される。被災から約1か月後に、市営住宅へ入居する。
被災してから約3か月間、ほぼ毎日のように自宅周辺の土砂の撤去やがれき等の解体・撤去作業を行う。被災から4か月目は、屋内の清掃等を行った。被災から約5か月後、夜間トイレに行く際にめまいを覚え、病院を受診。
被災から約8か月半後には、胸部痛を覚え、病院を受診。休むとよくなるが、動くと痛みがあると訴える。50m歩行や引越し(約半月後に帰宅予定)の荷造りをすると労作狭心症が出現。受診翌日、胸痛を覚え、心筋梗塞により入院。緊急カテーテルを行うが、その2日後に急性心筋梗塞により死亡した。
自宅に流入した土砂の撤去作業の身体的負担やストレスで急性心筋梗塞を発症し死亡したと認められることから、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)とは

虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞があります。
狭心症は動脈硬化などによって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。主に歩行などの動作をしているときに、胸を圧迫されるような痛みの発作が繰り返し起こり、数分以内におさまります。発作が起きたときには、冠状動脈を拡張する作用を持つニトログリセリンを舌下服用するとおさまります。
狭心症はなんらかの動作中に起こることが多いのですが、安静時に冠動脈のけいれんが起こり、狭心症の発作が起こる場合もあります(冠攣縮性狭心症)。

一方、心筋梗塞は、動脈硬化によって心臓の血管に血栓(血液の固まり)ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう病気です。胸に激痛の発作が起こり、呼吸困難、激しい脈の乱れ、吐き気、冷や汗や顔面蒼白といった症状を伴うことがあります。痛みは20分から数時間にわたることもあります。激痛は胸だけでなく、胃のあたりや腕、肩などにも起こることがあり、これを放散痛と言います。心臓の血管が一瞬で詰まると、突然死することもあります。

狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、心臓カテーテル検査を行って、狭くなっているところや詰まっているところを見つけ、その部位で風船を膨らませて血管を拡張させるPTCA(経皮的冠動脈形成術)や、さらにその部位にステントという器具を入れて固定する治療がよく行われます。また、冠動脈バイパス手術が行われる場合もあります。

虚血性心疾患の予防

虚血性心疾患の3大危険因子は、喫煙・LDLコレステロールの高値・高血圧です。またメタボリックシンドロームも危険因子の一つです。
健康診断でこれらを早めに見つけることが重要です。生活習慣では、喫煙のほか、動物性の油に多く含まれる飽和脂肪酸のとりすぎ、お酒の飲み過ぎ、食塩のとりすぎ、運動不足、ストレスが虚血性心疾患のリスクを高くします。一方、魚や野菜、大豆製品には、虚血性心疾患を予防する働きがあります。

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