
災害区分 台風
発災から死亡までの期間 1年以内
性別・年齢 男性・80歳代
死因 老衰
死亡までの経緯等
発災前は糖尿病等の既往がありインスリン注射をしていたが、散歩に出かけたり、週に1度のリハビリに通うなど活発に日常生活を送っていた。
発災時は親族宅に事前避難していたため、親族がインスリンを取りに自宅へ行ったものの、浸水のため入手できなかった。また、親族宅は台風の影響により停電が続いたため、別の親族宅へ転居したが、環境の変化にストレスを感じていた。注射や服薬を行うため入院することとなったが、肺炎を発症し動けない期間が続いたため次第に歩行が難しくなり、体力も低下していった。発災から約2か月後に間質性肺炎を発症。一時危篤となり、症状は回復したものの自力歩行が困難となった。発災から約4か月後、自宅の修復が完了し帰宅したが、室内での転倒を繰り返し、食欲も回復しなかったため入院することとなった。自宅へ戻るためのリハビリが可能な病院への転院を希望したが、被災のため受け入れができなかった。その後も徐々に体力が低下していき、発災から約8か月後に老衰のため死亡した。
災害により持病の注射や薬の服用ができなかった期間があったことや、被災後に移転を繰り返したことにより体力が低下し、死期を早めたことが推測されるため、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。
被災地での健康を守るために(厚生労働省)
2.病気の予防
(5)心身の機能の低下予防
慣れない避難所や仮設住宅の生活では、体を動かす機会が減ることで、特に高齢者の場合には、筋力が低下したり、関節が固くなるなどして、徐々に「動けなく」なることがあります。
また、動かないでいると、だんだん心が沈んできて「3.こころのケア」にあるような症状が出てしまうこともあります。
身の回りのことができる方は、なるべく自分で行ったり、可能な作業に参加したりしてください。
声をかけ合って、積極的に体を動かすようにしましょう。
3.こころのケア
今回の地震のように大変重いストレスにさらされると、程度の差はあっても誰でも、不安や心配などの反応が表れます。まずは休息や睡眠をできるだけとるようにしましょう。
これらの不安、心配の多くは時間の経過とともに回復することが知られています。
不安や心配を和らげる呼吸法として、「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う、朝、夕5分ずつ」行う方法もあります。実践してみましょう。
しかし、
1)心配で、イライラする、怒りっぽくなる
2)眠れない
3)動悸(どうき)、息切れで、苦しいと感じる
などのときは無理をせずに、まずは身近な人や、専門の相談員に相談してみましょう。
また普段からお互いに声を掛け合うなど、コミュニケーションを取るなどしてこころのケアをすることが大切です。