【61】急性心筋梗塞【地震・3か月以内・80歳代・男性】

災害区分 地震
発災から死亡までの期間 3か月以内
性別・年齢 男性・80歳代
死因 急性心筋梗塞

死亡までの経緯等

発災の約6年前に心臓の冠動脈バイパス手術を受け、その後は慢性心不全等のため処方薬を服用していた。
発災後、避難するため同居の親族に背負われて高所まで移動した。降雪があったが、緊急の避難だったため防寒は不十分であった。その後避難所へ移動したが、避難所は非常に混雑しており横になることもできなかったため、自宅へ戻ることとなった。自宅は床上浸水、土砂の流入、ライフラインの途絶のため暖房器具が使えず、低気温下での生活であった。
ライフラインが復旧した後も部屋にこもりがちになり、食事の量も減っていった。発災から約2か月後、胸背部の痛みを訴え家族により搬送されたが、同日中に急性心筋梗塞のため死亡した。
心臓の既往はあったものの発災前までの約6年間は発作もなく、比較的落ち着いた状態であったが、発災直後の環境の激変により心身にストレスを受け、死因である急性心筋梗塞を発症したと考えられることから、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)とは

虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞があります。
狭心症は動脈硬化などによって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが悪くなった状態です。主に歩行などの動作をしているときに、胸を圧迫されるような痛みの発作が繰り返し起こり、数分以内におさまります。発作が起きたときには、冠状動脈を拡張する作用を持つニトログリセリンを舌下服用するとおさまります。
狭心症はなんらかの動作中に起こることが多いのですが、安静時に冠動脈のけいれんが起こり、狭心症の発作が起こる場合もあります(冠攣縮性狭心症)。

一方、心筋梗塞は、動脈硬化によって心臓の血管に血栓(血液の固まり)ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう病気です。胸に激痛の発作が起こり、呼吸困難、激しい脈の乱れ、吐き気、冷や汗や顔面蒼白といった症状を伴うことがあります。痛みは20分から数時間にわたることもあります。激痛は胸だけでなく、胃のあたりや腕、肩などにも起こることがあり、これを放散痛と言います。心臓の血管が一瞬で詰まると、突然死することもあります。

狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、心臓カテーテル検査を行って、狭くなっているところや詰まっているところを見つけ、その部位で風船を膨らませて血管を拡張させるPTCA(経皮的冠動脈形成術)や、さらにその部位にステントという器具を入れて固定する治療がよく行われます。また、冠動脈バイパス手術が行われる場合もあります。

虚血性心疾患の予防

虚血性心疾患の3大危険因子は、喫煙・LDLコレステロールの高値・高血圧です。またメタボリックシンドロームも危険因子の一つです。
健康診断でこれらを早めに見つけることが重要です。生活習慣では、喫煙のほか、動物性の油に多く含まれる飽和脂肪酸のとりすぎ、お酒の飲み過ぎ、食塩のとりすぎ、運動不足、ストレスが虚血性心疾患のリスクを高くします。一方、魚や野菜、大豆製品には、虚血性心疾患を予防する働きがあります。

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