【40】肺塞栓症【台風・1か月以内・60歳代・女性】

災害区分 台風
発災から死亡までの期間 1か月以内
性別・年齢 女性・60歳代
死因 肺塞栓症

死亡までの経緯等

発災前は高血圧等の既往症があったため毎日血圧を測定し、血圧が高い時には服薬しており、処方のために通院していた。
発災時は親族宅に避難していたが、翌日自宅に戻る途中に堤防が決壊したため、そのまま別の親族宅に避難した。避難中も自宅の片付けに通っていたが、災害による渋滞のため片道1時間30分かかり、毎朝早朝に起床し、深夜に就寝するといった生活を続けた。また血圧計が流失したことにより血圧を測定できず、適切に服薬できない期間があった。発災から約1週間後、自宅2階での生活を再開したが、疲労感を常時訴えるようになり、自力で2階に上がることも難しくなった。自宅に戻ってから10日後、嘔吐したためかかりつけ医を受診し、緊急搬送されたが、肺塞栓症により同日中に死亡した。
災害により生活環境が激変したことや、長時間の運転が続いたこと等が死因である肺塞栓症の発症につながったと推測されることから、死亡と災害との間に相当因果関係があると認められた。

被災地での健康を守るために(厚生労働省)

1.生活・身の回りのことについて

(1) 暑さへの対策
  • 暑い日が続く季節となってきたため、脱水や熱中症で体調を崩さないように注意することが必要です。日中に外出するときには、日傘の使用や帽子の着用、日陰の利用などにより暑さを避け、こまめに水分・塩分補給をしましょう。特に、節電・節約を意識するあまり、クーラー等を使わず熱中症になることがないよう、室温をこまめに計測し、28度を目安として、適度にクーラー等を使用することも重要です。また、暑い日に、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられた際には、すぐに医療機関を受診しましょう。
(2) 水分について
[1] 水分の確保
  • 様々なストレスや、トイレが整備されないことが原因で、水分をとる量が減りがちです。また、気温が高いときには脱水状態になりやすいので、こまめに水分をとりましょう。特に高齢者は脱水に気付きにくく、こうした影響を受けやすく、尿路の感染症や心筋梗塞、エコノミークラス症候群などの原因にもなるので、しっかりと水分をとるようにしましょう

2.病気の予防

(4)エコノミークラス症候群にならないために

 食事や水分を十分にとらない状態で、車などの狭い座席に長時間座っているなどして足を動かさないと、血行不良が起こり、血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が足から肺などにとび、血管を詰まらせ肺塞栓などを誘発する恐れがあります。この症状をエコノミークラス症候群と呼んでいます。

 こうした危険を予防するために、狭い車内などで寝起きを余儀なくされている方は、定期的に体を動かし、十分に水分をとるように心がけましょう。アルコール、コーヒーなどは利尿作用があり、飲んだ以上に水分となって体外に出てしまうので避けましょう。できるだけゆったりとした服を着ましょう。また、禁煙はエコノミー症候群の予防においても大変重要です。

 胸の痛みや、片側の足の痛み・赤くなる・むくみがある方は早めに医師に相談してください。

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